バイオマス発電が話題となっています。
「カーボンニュートラル」という考え方が根底にあります。
<カーボンニュートラルとは?>
カーボン=炭素、ニュートラル=中立
化石燃料を燃やすということは、何億年も掛けて蓄えた炭素(有機物)を二酸化炭素(CO2)に変えてしまうことですので、地球環境的には、マイナスとなります。
バイオマス発電なら、太陽の恵みによって、空気中の二酸化炭素から、光合成で作られた森林や植物を、燃やして利用することで、二酸化炭素の戻るだけですから、プラスマイナスゼロとなり、地球環境を悪化させないという意味で、“カーボンニュートラル”という言葉が使われます。
確かに、化石燃料の使用と比べたら、非常に良い事となるのですが、プラスマイナスゼロですから、地球環境が良くなるわけではありません。
<有機物の無機化という考え方>
環境にやさしいとか、持続可能な社会の鍵は、有機物の生成であり、有機物の無機化の防止です。
世の中の環境破壊、環境汚染、地球環境問題の多くは、有機物の無機化が絡んでいます。
また、生態系循環でさえ、生命の多くの営みは、有機物の無機化であり、逆を司るのは、森林・植物等による光合成だけなのです。
<森林・バイオマスに対して、私たちがやるべきこと>
カーボンニュートラルを否定はしませんが、バイオマス発電は、せっかく作られた森林という有機物を、短時間でCO2という無機物に変えてしまうわけです。
では、どう考えれば、地球環境を良くすることができるのでしょうか。
私たちができることは、大きく分けて、2つあります。有機物を沢山生み出すことと、それが無機化する時間を少しでも遅らせるということです。
多くの環境活動は、そこにつながっています。
森林で言えば、話は簡単です。
有機物を生み出すとは、森林や植物を育てることです。
無機化する時間を遅らせるとは、燃やさずに、利用を増やしていくことです。
木の家、木の建物や木工製品は、長く使えば使うほど、二酸化炭素に戻る時期を遅らせることができるわけです。
それだけでなく、木として残っていれば、“価値=資産” としても、蓄積されていくことになります。木を燃やさずに使うということは、環境の価値だけでなく、私たちの資産としての価値を創生しているということであり、経済のあるべき姿にもつながってきます。
そのために、私たちの、日本の木の文明の歴史や、木のすばらしさの一端でも知ることが大切です。