地球温暖化問題解説(4)

第4回) 京都議定書
 名前だけは良く知られていますが、内容は・・・

1997年: 気候変動枠組条約 第3回締約国会合(COP3): 京都で開催されました。

「京都議定書」とは: この会議の中で議決し、採択された議定書です。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素等の温室効果ガスの、先進国の削減率を定め、共同で約束期間内に目標値を達成することを定めました。

<京都議定書の内容> 
1)温暖化ガス(CO2等)の排出削減義務 ⇒罰則つき
 1990年基準で、2008年~2012年(第1約束期間)の削減率を定めました。
   日本:6%  EU(欧州連合):8%  アメリカ:7%など
   途上国は義務なし ←「共通だが差異ある責任原則」により

2)その他の取り決め
 <排出量の売買>: 削減量を売買する仕組み
 自分が削減できなくても、お金で買って、目標を達成したことにできます。
 逆に、義務以上に達成した分は、売ることができます。  ⇒3つの仕組みがあります。
① 排出量取引制度(ET):義務を負う先進国同士が、「排出枠」を売買できます。
② クリーン開発メカニズム(CDM): 先進国が途上国に資金・技術を援助し、共同で削減プロジェクトを実施します。その結果として得られた削減量は、「削減クレジット」として先進国に与えられることになります。
③ 共同実施(JT): 先進国同士、2国間で資金・技術協力をして、共同プロジェクトを行います。得られた削減量も、2国間で分配します。

※以上のような排出量を売買すること自体に、賛否両論があります。地球環境を汚す権利をお金で買っているとみなされるからです。お金さえ出せば、地球環境を汚していいのか、という議論です。ただし、過去には、罰金も、負担も払わずに地球環境を汚してきたわけですから、汚した人はお金を払う、きれいにした人はお金をもらうというのは、大きな前進ですし、理にかなっています。
 これは、環境の価値を、初めて、世界経済に組み入れた、画期的な制度と言えます。
 ただし、大きな問題も残しています。本来は、地球環境を共有するすべての国が、共通のルール、共通の価値で行うべきことですが、削減義務を負う一部の国だけの制度となっているからです。

<森林吸収源>国内の吸収源が吸収する量を、その国の削減量に組み込める制度

<資金援助> 途上国の温暖化被害に適応するための資金援助の制度。「適応ファンド」と呼ばれます。先にCO2を沢山出してきた先進国が責任を取るための制度です。上述した排出量取引の2%が自動的に入る仕組みになっているので、良い制度ではありますが、年間数百億円程度で、世界で必要なお金の1%にも満たない状況です。


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2012年11月11日 Posted byまこと(気象予報士)@地球環境 at 09:42 │Comments(0)気候変動(地球温暖化)

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