海の環境問題を考える(5)

第5回:地球温暖化と海の環境

地球温暖化の大きな要因の1つに、大気中の二酸化炭素の増加が上げられています。地球温暖化問題は、世界各地に深刻な問題を引き起こしていますが、それでも、この程度で済んでいるのは、海のおかげと言わざるを得ません。
海は、地球上でもっともたくさんの炭素を蓄えてくれています。大気中の50倍にもなります。化石燃料で大気の5倍程度、森林や土壌で大気の3倍程度ですから、桁違いと言えます。

<温暖化の影響(1): 海面上昇の影響は計り知れない。>
縄文時代は、現在よりもっと温暖で、関東平野の奥深くまで海面が上がっていました。それでも、当時は大きな問題にはなりませんでした。当時の世界人口は500万人~1億人と言われています。日本の人口は、最大でも26万人と見積もられています。
現代は?: 世界人口70億人と激増し、多くは、海岸地帯の平野部に住んでいます。
(日本の大都市圏、上海、メコンデルタ、ベンガル湾等々)

<温暖化の影響(2):海洋の酸性化(海への二酸化炭素吸収)>
 二酸化炭素は水に少し溶けますので、私たちが、化石燃料の消費によって放出する人為的な二酸化炭素も、海がかなり吸収してくれます。
ところが、海水中の二酸化炭素が増加していくと、水素イオン濃度(pH)が低くなり、酸性化していきます。
そうなりますと、海洋生物の殻や骨格をつくっている炭酸カルシウムが海水に溶けだすようになり、死滅する危機にさらされます。(えび、さんご等)
海にも生態系がありますので、一部の生物の問題ではなく、生態系をゆるがす大問題です。
大気中と海洋中のCO2は、バランスを保っていますので、大気中のCO2が増加すれば、海洋中のCO2も増加します。大気中のCO2が600ppmを超えると、壊滅的な被害が発生すると言われています。
(産業革命以前は280ppm、現在390ppmで、増え方は加速しています。このままでは、100年程度で600ppmになってしまいます。)


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2014年01月04日 Posted byまこと(気象予報士)@地球環境 at 16:06 │Comments(0)環境問題解説

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